【読書感想文】「魯山人味道」を読んで・・旬と産地と技・人間一心の親切から成る料理・【和食の美】

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生誕の地 と 葵・かきつばた の思い出

賀茂別雷神社(上賀茂神社)に、葵プロジェクトというのがあり、会社でも家でも葵を育てていたこともあり、毎年5月に植栽に、またたいてい3月には打ち合わせ、また他の月にはafui Project の催しにと、よく行っていました。

その上賀茂神社の右手にカキツバタで有名な大田神社があります。その杜若が、とっても綺麗なので、印象に残っています。(クリックすると大きな画像になります)

 

この近くには小さい川が沢山ながれていて、鴨川と言われる所以である鴨がいて、何度か見かけたことがあります。とても仕事が忙しかったころだし、とても緊張する人たちを案内しないといけなかったのですが、いつもこのあたりで、癒されていた思い出があります。来年は「葵植栽会」にまた行ってみたいなと思います。

その大田神社を出てすぐのところに北大路魯山人生誕地記念碑というものがあります。

バブル期に流行ったコミックの美味しんぼ。。それに出てくる海原氏のイメージが重なってしまっていて・・そんな間違った北大路魯山人しか知らなかったので、お金持ちの頑固で美食家の陶芸家と思っていました。美食って美味しんぼの世界観があって、なにやら、贅を尽くしたもののようなイメージがあり、北大路魯山人のイメージも、そういう風であり、石碑を見て、ふ~んって思うだけだったのです。

偶然本屋で・・味道

それが、ふと入った本屋さんで、味道という本を見つけて手にとってみたのです。

平野 正章 (編集)とあるので、魯山人の短文を本形式に編集したものだと思いますが、美食というもののイメージが、少し変わりました。

美食

四季おりおりの物を、旬に、そして、土地とちの物を、昔からある方法で頂く。何も高いものでなく、素材や調理方法に少しこだわりやうんちくがあったり、素材をもっとも活かした食べ方、器や添え物を着物として目で頂いたり、数の子のように、音で頂く。また残ったものの始末のいい食べ方など そういう粋(イキ)な、丁寧な食べ方を美食というんだということが、わかりました。

持ち味を生かす。 という節の中に、「生かすことは、殺さぬこと」砂糖味の素は味の低下をもたらすということがさんざん書かれていて、天然の味を賞味するのが一番いいと書かれています。それと見識が大切だと。「物を食うにも、物を楽しむにも、味わう上から見識があってよい」自分が食べたいと思う物が栄養的にも一番体が欲しているものだろうから、それが一番美味しいものだと・・「平凡なやからがいうところのぜいたく食いをつづけ、心身の健康をつくり、頭脳をつくり、人一倍優れた仕事が出来得るならば、美食は経済の本旨に逆らうものではないではないか。美食礼讃の一席、まずはこの辺で・・・」と結んでいます。

なるほど、素材に対する見識を生かした食べ方で、自分が食べたいものが一番おいしく、それが美食なんだと・・いうことが理解できます。

関西と関東

そして、北大路魯山人は、京都で料理屋をやっていて、東京に出てきて、晩年に陶芸に打ち込んでいたんだということも。。 この年になって、実は初めてしりました。

この本では、京都や大阪の素材、東京の素材が多く出てきて、それぞれにいいところが書いてあります。

「たいは関西がよく、まぐろは東京がいい。その意味から言っても、東京は、たい茶漬けよりまぐろの茶漬けを用いてしかるべきであろう。」

「たいと鱧は京阪における美食だった」「穴子もいろいろ種類があって羽田、大森に産する本場物でなくては美味しくない。」

関西・関東だけではないですが、沢山の土地とちの素材が紹介されています。

ちなみに、上の文章はお茶漬けの節からです。

お茶漬け

お茶漬けが沢山でてきます。納豆、海苔、塩昆布、塩鮭、塩鱒、鮪、てんぷら、鱧、穴子、鰻、車エビ、京都のごり。

どれも、少しのこだわりが書かれています。魯山人のこだわりは、お茶にあるのかも、番茶より煎茶や粉茶で濃いめのお茶でするようです。どちらかというと油っぽいもののお茶漬けが多いですよね。。その油っぽいものの代表のてんぷらの茶漬けは、冷めた天ぷらを炭火で焙り、油を少し落として、濃いめの煎茶で食べるとあります。どれも、少し手間をかけていますね。

はじめの納豆の手間も、まず納豆をよく練り、また練り、醤油を数滴たらし、また練り、辛子を少し加え練り、それに刻んだネギを少量加える。練る手間を惜しまないことが秘訣とあります。 食べるというだけでなく、手間にも美食があるのかな?と思います。

↑これは・・・ちがうな(笑)

道は次第に狭し という節も、面白いです。美味しく食べるには?ということの問いが、味のわからない人、生半可に能書きをいう人、味がわかる人向けに、どうすればいいかと書いてあります。「味や美の道には頂上というようなものはまずあるまい」ってありますから、そういう意味で芸術の類になる。そのため、美 の 食なんだろうと思いました。

最上の素材の味

味がないもの・・・味が薄いものの中にある味が最上の味だそうです。 河豚、鱧、ワラビなどが深い味わいを見つけられるもののようです。濃い味じゃなくて、うす味なんですね。なんとなく、わかるような気もするし、でも、てんぷらとか鰻の話も美味しそうだし。。全部読むと一貫性があるような、ないような気がするんですけど、結局は、その時、その時に一番新鮮で、一番安くて、そして一番自分が食べたいものを、おなかを空かして食べる。それが一番 最上の味ということが書かれている気がしました。そして作る側から言うと、素材を最上に生かした、人間一心の親切から成る料理なんでしょうね。

魯山人

イメージが変わったところで、今度は陶芸にもちょっと興味が出てきています(笑)。きっと小さいころに、あの上賀茂の風景や、杜若を見て育ったんだろうな。。なんて想像しながら、美を想像してみても面白いかな?なんて思うようになっています。

これを次は読んでみようかな?

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