【天然酵母】やっぱり自家製酵母じゃないんだ! 日本パン技術研究所の「天然酵母表示問題に関する見解」を読んで【イーストも天然だよ】

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「天然酵母表示問題に関する見解」

平成 19 年 1 月 9 日 日本パン技術研究所 

もう10年以上まえに出ている「天然酵母表示に関する見解」を読んでみました。

なかなか実態を表している文書になっていて、面白いです。

超要約すると、

  • 消費者は、パンを味で選んでない
  • 天然酵母って書かれていると、なんとなく安心してしまう
  • 天然酵母って定義はない
  • 天然酵母使用!って書かれていても、ほとんどがイースト併用か、白神こだま
  • 天然酵母という表示で消費者を騙している
  • パン業界への提言 表記法など

になっています。

まず、これにも掲載されていますが、ドライイーストも、天然酵母です。

天然酵母の定義はない。

日本イースト工業会は、以下のように天然酵母について平成 15 年 3 月 17 日に日本イースト工業会が食糧庁長官に「天然酵母」に関する見解として出しているそうです。

この見解に従えば、ドライイーストを使っていても、天然酵母使用!と言ってもおかしくないですね。

そして、僕も時々つかうサフも、英語表記ではNatural Yeastです。Natural Yeastを日本語訳すると天然酵母ですね。禅問答のようですが、もともと天然のものなんですよね。

だから、天然酵母という言葉の利用と、消費者の理解を正しくしないといけないのですよね。

消費者が賢くならないといけない。と言われて久しいですが、実態はこういうところです。

「天然酵母パン」という表現がおかしいので、適切な言葉をみんなで作っていかなければならないっていうことだと提言しています。

天然酵母表示パンの内訳

100サンプルを集めて、どんな酵母・発酵種を使っているのか?調べています。天然酵母と言われて、みんなが想像している自家製の酵母を起こして作っているのは、なんと、17%しかありません。

市販の天然酵母はほぼ、ホシノ酵母かと思われます。また白神こだま酵母は、天然酵母と製造者も言っておらず、製造工程も、ほぼ他のイーストと同じと書かれています。

表1からすると、天然酵母パンと謳われているパンのうち、60%は、純粋培養された酵母を使っているっていうことですね。

消費者の意識

買う人は、どうして、そのパンを買うか?

美味しそう・焼き色・形状 までをいれると、ほとんど見た目ってことですね!そして、価格とボリューム。 基本は、そういうところなんですね。

天然酵母かから買うと答えているのは5%に過ぎません。添加物も12%です。マジョリティは、、そんなことどうでもいいのですね。

美味しくて香りのいいパンに巡り合っていないからかも知れませんね。

天然酵母パンのイメージの調査もしています。

自然で、安全で、ヘルシーなイメージなんですね。美味しいとか、本格的というイメージはあまりないようです。

美味しいというイメージができていないのは、パン業界そのものの努力不足かも知れませんね。美味しいをもっと価値にできれば、本当はよいのかも知れません。

自然・安全・ヘルシーは、天然酵母かドライ酵母かで、ほぼ、まったく変わらないもので、本来は、味・香りと手間暇が違うだけなんですが、実質とイメージが食い違っていることが問題ですね。

何が違うのか?酵母と乳酸菌とPH

複雑な味がでるのは、野生酵母や乳酸菌によるものと想像されています。それらの違いはどれだけあるのかも、記載されています。

まずは酵母と、乳酸菌の数です。

乳酸菌の数が、自家培養と市販のもので、よく似た特性になっているものと、2桁以上違いがあるものとがありますね。乳酸菌数が自家培養のものが多いということのようです。

PHを独自に調べています。

これは、一目瞭然で、自家培養のものは、PHが低い値になっています。

提言は?

  1. 自家培養の酵母の場合:天然という接頭語に対する消費者の混乱を回避するために、昔から一部で行われているように、レーズン発酵種、リンゴ種、酒種、パネトーネ種などのように発酵種の微生物の採取源や培養源、あるいは伝統的な発酵種の名称を表示する方法が推奨されます。
  2. 簡易発酵種の場合:1と同じで培養源や由来で表示するのが望ましい。しかし簡易発酵種の製造法はほとんどの場合秘密とされています。また、成分分析もなされていないのが一般的です。簡易発酵種の製造及び販売に関する改善が必要である
  3. ブランド酵母名があるパン酵母の場合:ブランド名を表示する。
  4. 発酵種+パン酵母の場合:このようなパンに“天然酵母パン”と大きく表示して通常のパンと差別化する試みは消費者の酵母表示に関する混乱を増長するものであり、早急に改善する事が望まれます。

と書かれています。天然酵母に定義がない以上、どんなパンも天然酵母と名乗って嘘ではありませんが、消費者を混乱させる表記はあらためる必要がありそうですね。

僕個人の見解

実は僕個人としては、趣味で焼く程度ですし、自分で食べるものなので、自家製酵母でもドライイーストでも、食べたいパンにあっていればいいと思っている派です。発酵そのものが好きなので自家製天然酵母を使うことがおおいのですが、やわらかく早く仕上げたい時や、軽い食感を作りたい時はドライイーストも使います。適材適所がいいと思っています。トータルでパンが美味しければ、それが一番だと思っています。ただドライイーストは多く使うと香りがドライイーストの香りになるので、あんまり美味しく感じません。酵母自体の味か、ここで書かれているようにいろんな野生酵母や乳酸菌などの微生物から出ているのか?野生酵母の残渣が味を出しているのか?はたまた培地が出しているのかわかりませんが、自家製酵母を継いだりして長くつかっていると、味も香りも非常に複雑になり、美味しく感じます。一度、本物というかこの味と香りを知ってしまうと、やはり自家製の酵母のものが美味しく感じてしまいます。

表記については「◯◯製の酵母使用」と書けばいいのではと思います。消費者に嘘ではないですが、誤った情報を伝えることが一番安心できないことだと思います。販売者も消費者もお互いが信用できるようにしていくことが重要ですね。

それと、僕も「天然酵母」という言葉を使わないようにしようと思います。それぞれの酵母の名前を使おうと思います。

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