「60年に1度のパラダイムシフト!?」
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1904/15/news056.html
こんな記事がでていたので、なんだろう??って。。 調べてみました。
3Dセンサーが、自動運転の技術の要のセンサーになるということ。そして3Dプリンタでも作れるということで、非常に注目を集めているのではないかな?って思います。
自動運転をするのに、周りを三次元計測して距離が分かった上で走行する方が安全にできそうです。
三次元計測のセンサーには、画像だけで物体認識しながら行うもの。2眼にして、立体視で距離を測るもの。そして、LIDARといってレーザー光で測定するもの、ミリ波(波長がミリ10㎜~1㎜っていう意味で、30~300GHzの周波数)で測定するものなどがあります。
可視光を使うカメラで計測するものは、雨だったり霧だったり、夜だったりするとそもそも映りにくいので、そういう時は不利ですし、Deeplearningが凄くなったとはいえ、画像処理で距離を求めるには計算コストがかかります。
今の自動運転車にはほぼ確実についているLiDARも結構安くなってきているんですが、これ360度回しているから、デザイン的にどうもセンサーついてますよ~~感が強いですね。
ちなみに、ちょっと前までは凄い値段してましたけど、今だと普通に買える価格になってきています。
ここまでは、光を使って計測します。で・・・
ミリ波レーダーは、電磁波を使うんですよね。低い周波数だと回折したりするので物体を認識しないんですが、今は77GHzと79GHzが使えるらしいです。今回の発表あったものも、その両方の周波数が使えるというものです。すでにトヨタのADASではミリ波レーダが使われています。ちなみにアイサイトは二眼の画像ですね。トヨタでも、ディーラーオプションの自動ブレーキは、二眼の画像ですね。。
って脱線しましたが、今回発表になっているのは、カメラと、ミリ波レーダーがついたものです。
こんなのです。
これが何が凄いのか?っていうと、光だと物理的に回転させなきゃならないんですが、電波も普通のレーダーは、回ってますよね?ああいう風に電波をあちこちにばらまいてその帰ってくる強度や時間で距離を測ります。でも電波の場合は、フェーズドアレーっていう小さいアンテナを沢山並べて、位相を変えることで疑似的に電波の方向を変える技術があって、そのアンテナには、これまで、平面アンテナ・パッチアンテナというものが使われていたんです。
で、位相を変えたりするのに導波路という電磁波を導く道のりの長さを変えたり誘電体を変えたり基板の長さを変えたりして調整していたんですが、ちょっと複雑な三次元構造にして導波路を作ったら、小さく作れたっていうのと、導波路での損失がほとんどないっていうとてもいい特徴のアンテナができた!っていうことのようです。
この導波路どっかでみたなぁ~って。。思ったので、少し調べてみました。
「ワッフルアイアンリッジ導波路」
日本電産のページに、この技術の紹介記事がのってて
https://www.nidec.com/ja-JP/ir/individual/interview/04/
この中に、キー技術として、「ワッフルアイアンリッジ導波路」がのってました。
ワッフルアイアンって ワッフルを焼く時に使う、こんなのです。
これだとわかりにくいですが・・・中は、こんな感じになってます。って僕も持ってるんだけど、IHにしてからあまり使ってない(笑)
ちなみに、ワッフルを焼くときは、アーモンドプードルで作ると美味しいですよ。
ってまた脱線。。
この形状のワッフルアイアンリッジウェイブガイドっていうのは、コルゲート型ウェイブガイドの一種で、波型が沢山ならんだ構造の導波路になります。
https://en.wikipedia.org/wiki/Waveguide_filter#Corrugated-waveguide_filter
https://en.wikipedia.org/wiki/Waffle-iron_filter
こんな感じで、本当にワッフルアイアンみたいですよね。超簡単に言うと、この間をまっすぐ通るんじゃなく凸凹に邪魔されながら電波が通るので位相を変えたり、できて、ひとつの波じゃなくて、何個かの波が重ね合わさるようになるので、お互いに波が打ち消しあったりするってことでフィルターになるわけです。 わかったようなわからなんような説明です(笑)
ワッフルアイアンフィルタは、本質的にローパスフィルタですが、すべての導波路デバイスと同様に、導波路カットオフ周波数より低い周波数では何も伝送しません。ワッフルアイロンフィルタは、挿入損失の少ない広い通過帯域と広い(時には非常に広い)阻止帯域の両方が必要な場合に使用されます。スプリアスモードの抑制が必要な場合は特に有効です。
ということで、最初に書いた特徴が全部書かれていますね。ロスが少なくて、広帯域になる。スプリアスが抑制されるので、ノイズも出ないのでレーダーだと解像度が上げやすいってことです。
光導波路ではかなり使われている技術だそうです。
たぶん、構造とか特性は、1957年にスタンフォード研究所でSeymour B. Cohnによって発明されたとあるので、いいものなんだけど、設計がなかなかできなかったってことなんだと思います。これはきっと、シミュレーション技術が向上したので使えるものが作れるようになったということなんでしょうね。
凄い。
もっと知りたい方は、
富山大学にこういうレポートがありましたので、これを読むといいかと思います。
ワッフルアイアンリッジ導波路とそれを用いたアレーアンテナに関する研究(PDF)
MW-Studioという電磁界解析ツールで各種シミュレーションをして、実際に作って試していますね。この段階では、指向性の調整にはまだ少し届いていないという結論になっています。
もっともっと知りたい方のために、特許を見てみると構造や、どのあたりが肝なのか?が分かりやすいかもしれません。
https://astamuse.com/ja/patent/published/person/6419352
自動運転用のセンサーは何になるのかな?
レーダかな?レーザーかな?可視光かな? それらの融合になるでしょうね。強い電波があるところで大丈夫なんかな?とかちょっと考えてしまうオジサンです。
で・・・ 最近、また電気学会で、こんなこともやってます。名前は、「自律走行システムにおける電磁的セキュリティ特別調査専門委員会」
↓こちらの分野も、いろいろと教えてください(笑)
【UAV自作のために】Autoware ROSベース ちょっと調べ Raspberry Pi Formula 【ラジコン】
本当は、こっちの方が好きなんですけどねぇ~~ ラジコン自動運転。。またやろうっと!
P.S.
僕の名前の載ってる特許出願ってちょうど100件なんだ。。びっくり
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