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アジアも人口増加は2050年には止まる
IMFからアジア・パシフィックの経済状況というレポートが4月28日に出ましたね
http://www.imf.org/en/Publications/REO/APAC/Issues/2017/04/28/areo0517
アジアは引き続き、世界経済のリーダーであることには間違いない!と、IMFのブログには書かれています。(人口が多いので)
http://www.imf.org/ja/News/Articles/2017/05/08/NA050917-Asia-Dynamic-Economies-Continue-to-Lead-Global-Growth
でも、一方で、Bloombergの記事では日本を筆頭にアジア太平洋地域は高齢化が高速に進む!というところを見ています。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-05-09/OPO37M6K50XW01
このインフォグラフィックスをみると
http://www.imf.org/en/Countries/Infographics/APD-REO-2017/Aging-Policy-Solutions
フィリピン・マレーシア・インドあたりが、まだ人が増え続けるようですね。Paradox of Progressと同じですね。
しかし、2050年にはアジアでも人口増加は止まると予想されています。
大きな原因は、Paradox of Progressでも書かれていますが、都市化によって寿命が延び、集約的になったため、人があまり要らなくなってきたという医療をはじめとする技術の進化によって人間自身が増加を抑制しているという自然界の法則なのかもと・・養老さんの講演を聞いて、最近思うようになってきました。ある意味、都市化を抑えるあるいは、都市を分散させると、まだ人口増加はできるのかもという気もしてきました(笑)
また経済=お金の流通 と考えてみると、人口増加が減ると経済成長も減るということで、成長の限界や、里山資本主義、そろそろ下る、ダウンシフターズのような世界観になっていくのか?? そして、限界費用ゼロ社会が言うように、金融国家主義が変わっていくのかもしれませんね。
ところで、そういう人口減や成長の鈍化に対して、世界経済を見ている人達は、どう思っているんでしょうか?
ちょうど、WEFからレポートが出ているので、それも見ていきましょう。
Inclusive Growth and Development
The Inclusive Growth and Development Report 2017 日本語に訳すと、包括的成長と開発リポート。
Inclusive(インクルーシブ)ってどういうことでしょうかね?(笑) 新しい単語が好きですよね外人は(笑)。 exclusive(エクスクルーシブ)が排他的なので、包括的というより、多くのことを考えた。とかという意味でしょうね。
この言葉だけを考えると、なんとなくミスリーディング(誤解)するので、実際は何をやっているのか?というのを、レポートから見ると、理解しやすいかもしれませんね。
包括的開発インデックス(IDI)の順位地図
レポート自体は、全体を見ればと思いますが
クリックしてWEF_Forum_IncGrwth_2017.pdfにアクセス
何をしているかというと、これまで、GDPや人口あたりのGDP(国内総生産)で国の順位をつけていたのを、IDIにしようとしているだけです(笑)
もともとこれは、2009年のAPECの会議で提案されてきたものですが、データが集まり始めてやっと去年あたりから順位が出てきているという感じのものです。
GDPは極貧困層を少なくしてきたが、内部で格差の拡大がでてきていたり、金融危機に備えるには、もっと包括的に事象をとらえなければならない。それが社会主義や共産主義というものではなく、自由主義の上で実現しなければならない。ということで、作ろうとしている指標になります。
- 教育や職業訓練などを通した個々人の能力の開拓
- 雇用の創出と柔軟な雇用制度の確立、中小企業支援、
- 貧困対策、女性・子供・高齢者のエンパワーメント、
- 機会の平等を高めるようなインフラと法の整備
- ガバナンス、
- 経済危機に対応できるような社会的セーフティーネットの確立
をしようとしています。
包括的成長の今後の方向性
今後の方向性:これらの結果は、グローバリゼーションを再設計するためのいくつかのステップを示唆しています。第一は、グローバリゼーションの欠陥を、特に金融グローバル化に関連して認識することです。マクロ経済のボラティリティと不平等に対する金融グローバリゼーションの悪影響は打ち消されるべきである。今日の政策立案者の中には、金融危機につながる可能性が高いと見られる外国資本フローを制限する規制の受容が増えています。唯一のツールではありませんが、持続可能な信用ブームの源泉となっている海外からの借り入れには、資本規制が最良の選択肢かもしれません.これを超えて、短期的には、再分配の程度を高めることができます。これは、より高い税率(法人所得税の累進的な累進、富や財産税への依存度の高まりなど)とグローバリゼーションから逃れた人々を支援するプログラムの組み合わせによって実現できます。貿易の場合、調整支援プログラムが存在する。過去にうまく機能していないということは、それらを破棄するのではなく、修正するための議論です。移住の場合でも、外国人労働者の入国が増える地域をターゲットにすることで、潜在的な敗者への補償を拡大することができます。これは、寛大な失業保険給付を提供し、失業した労働者を雇用に結びつけるための積極的な労働市場政策に多くの資源を配分することによって行うことができる。長期的には、再配分ではなく、「事前配分」を達成する仕組みにあります。健康、教育、金融サービスへのより均等なアクセスは、市場所得が単なる人生の出発点の関数ではないことを保証します。これは、誰もが同じ場所にいることを保証するものではありません。しかし、初期収入水準にかかわらず、人生の中でうまくいく機会を提供することは、後退する人々のための再分配の約束と相まって、単に世界の不満を無視するよりも、グローバリゼーションの支持を得る可能性が高い。
面白いのは、以下の点ですね。
金融グローバリゼーションの欠陥を是正するには、資本制限がいいかも。。
貿易も調整支援(関税ですね)をするのがいいかも。。
なんか。。
【成長の限界?】米選挙では、保護主義貿易がいつも話題になるね。本当はそれが地球のためかもよ
で言っていることに近いですね。
さて、日本は?
GDPでは、いまだに日本は世界3位(2017時点IMF)です。
http://www.imf.org/external/datamapper/NGDP_RPCH@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD
成長率は低いですけどね(笑)
レポートで、日本への対処方法は、以下のように書かれています。
日本は先進国のIDIで24位と低い。その明確な強みの中には、最長の健康寿命と比較的低い富の集中があります。一方、国は高貧困層と闘い、家計の16%が平均収入の半分以下を獲得している。さらに、高負債と依存度の高まりは、いずれも先進国経済の中で最悪の場合、世代間の公平性が欠如していることを大きな懸念として指摘しています。この枠組みは、こうした成果の乏しさにもかかわらず、日本は依然として多くの基本的権利を得ていることを示しています。教育は公平で質の高いものであり、その結果は非公式かつ失業率の低い熟練労働力につながります。関心のある分野にはジェンダーの格差があります。より手頃な価格の育児は、女性の労働力へのより大きな参加を奨励する可能性があります。特許活動、技術的な準備、研究開発に対する私的支出が高いにもかかわらず、日本は、管理上の障壁や起業家の失敗に対する否定的な態度に関連する可能性のある新規事業は比較的少ない。起業家精神のより強い文化を促進することは、経済のダイナミズムを推進するためにも重要です。
超要約すると(笑)
順位低いけど、長生きできて教育もよくて、失業率も低くて、研究開発支出も多くていいね。でも、世代間の格差があったり、育児費用が高かったり、企業での管理が出来ていなくて、起業家も少ないからダメなだけじゃん。。
という感じ?
あんまりインクルーシブなこと言ってないような気もしますが、ごくごく正当なこと言っているように感じます。
ちなみに、WEFは競争力のレポートも出しています。
Competitiveness Report
GCI(Global Competitiveness Index)というのも、作っているようです。IDIやらGCIやら、いっぱい作って、わけがわかりませんが・・
クリックしてTheGlobalCompetitivenessReport2016-2017_FINAL.pdfにアクセス
このレポートによると、日本は、
日本(8位)
マクロ経済状況(104位)は、財政赤字は依然として大きくないものの、過去1年間で17カ所増えたものの、日本の競争力は低下し続けている。再びインフレ率はゼロに近づき、安倍晋三首相になって以来、日本銀行が設定した2%の目標は一度達成された。日本は労働市場のダイナミックさの欠如に悩まされている(19位)。
8か所進歩しているにもかかわらず、日本は依然として雇用と解雇の容易さでは115位と低い。労働力(77位)における女性と男性の比率は、高所得国の中では最も低い国の一つであり、日本は海外才能(77位)にとってはあまり魅力的ではありません。国内市場は比較的競争が激しく閉鎖的であり、参入障壁や事業創出障壁が高い。明るい面では、日本は5つの柱の中でトップ10に位置しています。特に優れたインフラストラクチャー(5位)、高度に洗練された企業(2位)、ユニークな製品と生産プロセス(2位)を採用し、国際流通(5位)を支配しています。高品質な研究機関(13位)とR&D(4位)の企業支出は、科学者とエンジニアの優秀な利用可能性(3位)によって、国全体の高度に革新的な環境(5位)に貢献します。しかし、日本のイノベーション力は浸食されているようだ。2007年から2015年にかけてトップ5に一貫してランクされ、日本は3位を失い、現在は8位にランクされている。
いいもの持ってるのに、使っていない! って書かれていますね。(笑)
GCIにしても、IDIにしても、日本の処方箋は、同じってことですかね?(笑)
新しい資本主義?
ただ下って行く、降りていくだけでない新しい資本主義の姿って、こういう中にもヒントが、あるのかもしれませんね。
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