演劇などあまり見ないので、TVのコメンテータで見るくらいしか知らなかったのですが、平田オリザ さん の 「下り坂をそろそろと下る」。とてもよかったので・・・感想文を
この本が語っていることは、外から見た日本の姿 と 自分が考えている日本の姿 を そろそろ一緒にしていく努力をしましょう!ってことなのかな?って思いました。
この本の主張は、最後の章に書かれています。
その前提になる考え方は
(1)ワクワクする場や、偶然の出会いがある場所を作ろう
地方創生などで、本当に必要なのは、地域で本当に必要なのは・・・いや、たぶん会社でも同じかもしれない。偶然の出会いがある場所があって初めてワクワクし、その出会いで新しものが生まれるし、子供も生まれる(^^; これは、僕自身、チームマネジメントなどでもいつもそう思ってきたことで、最終的にはここに本質があるように思います。平田オリザさんは劇作家・演出家なので、演芸の場や文化について言っていますが、工業立国を支えてきたのは、米国だと、ガレージだし、日本だと、おもちゃ屋さん、プラモデル屋さんだと思う。学校もそういう所だったんだと思う。
いろんなところに出張させてもらったことで、街の姿について考えさせられることがあります。それは、例えば大阪は、エンターティメントの町なんです。パリも・・ミラノも・ロスもNYも・・東京も・・・ 地方の都市で、こういうエンターティメントの町って感じたことがない。
にも感想で、僕も平田オリザさんとまったく同じこと考えていました。
ライブハウス的なエンターテイメント(演芸場か?)と、遠隔授業を受けられるブースがあるような拠点が地方にいっぱいできれば・・・いいような気がするけど、どうだろう??
この本では、世界に負けない立派な、文芸を身に着けるってことを主張されていますが、たぶん、大衆民芸でもいいんだと僕は思います。大阪だと吉本新喜劇でいいし・・・それぞれのところで、多様なエンターティメントがあればいい。
(2)コミュニケーションは、相手にわかってもらえないということを前提にして取らないといけない。
この本では、小豆島の子供や、四国の子供を例にして、この子供たちは本当にいい子たちです。でも、外に行くと、かわいそうなことが起こるんです。自分を主張したり、他の文化の人達の話が聞けなかったり・・・と。。 そうなんですよね。多様性の中でそだってきていないので、まず、同じ文化の中でのコミュニケーションと、異質な文化(ここでは、基本的な考え方や、当たり前と思っている事柄の違い)がある中でのコミュニケーションはぜんぜん違う。だからコミュニケーションを学ばなければいけない。と・・
その手法として、演劇ワークショップ(ロールプレイ)がある。。。 仮想的に役割を演じてみることでいろんなことがわかる。マーケッティングや、合意形成などでも、同じことが言われていますね。この本で、劇作家の凄さを少し垣間見ました。
移植を待つ子供がいたとして、その親で一番葛藤する親の職業は?という問いに、「国際ボランティアNGOの理事」と答える・・自分の力で、何百万円でも集められる。しかし、そのお金で自分の子供を助けることもできるが、一方でそのお金があれば、何千人もの子供を救うこともできる。その時の葛藤をどう描くか?
凄いですね。こういう考え方で、演劇を作っているのですね。しかし、コミュニケーションの相手が考えていることを、ここまで掘り下げて考えるということ、理解とはそういうことなのだと考えさせられました。
少し話がそれましたが・・ 根底にある考え方があってこの本の理解が進むのかもしれません。
その考えは、2020年以降の受験制度改革にもつながっているそうです。日本人がこれから必要になる能力が、試される試験に代わることが、すでに決定されているそうです。2020年の高大接続改革(いわゆる大学入試改革)というものだそうです。
この本の主張は
(1)もはや、日本は、工業立国ではない
(2)もはや、日本は、成長社会ではない
(3)もはや、この国は、アジア唯一の先進国ではない
正に、外から見た日本の姿 と 自分が考えている日本の姿 を そろそろ一緒にしていく努力をしましょう!ということかと思います。
これを、うけて、亡びるのではなく、ゆっくりと成熟社会を作っていきましょう。それには、個々の多様な文化と、多様な考えを尊重して、文化的に暮らすこと。宮沢賢治が志した半農半アーティストなどの方法論をもう一度作り上げていきませんか?ということかなと思いました。
パラダイムがそろそろシフトするのか?
まだまだ、経済成長を追うパラダイムが、大多数なのですが、なぜか僕は、そろそろ、このパラダイムシフトが、起こるのではないかな?って思うのです。
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こういう考え方は、沢山ありますね。上のものは考え方の世界ですが・・・
物理的な世界でも、そろそろ限界が誰でも予想できるようになってきています。
少し優しくそろそろ下りる。と書かれているのですが、そろそろ っていうのはなかなか実現しないのではないかな?という気がしています。まだそろそろなのかもしれないのですが、1990年をピークとすると、もう20年くらいそろそろ下ってきたような気がしています。
パラダイムのシフトがこれまで起こった時、王政→民主主義 などを考えても、必ずこれまで富を持っていた人と、これからの本当の富を持つ人が入れ替わりが起こってきます。それは期せずして起こるもので、経済成長を言えばいうほど、崩壊までの道のりは短くなり、そのパラダイムシフトは一気に起こるのではないかな?と・・・ あとたぶん2~3年かもと思うのです。
地頭を鍛えるのと、たぶん、食料の確保の方法を各自で考えておかないといけないのかな?って漠然とそんな気がしています(笑)
そのほかに
Iターン、Uターンの考え方で・・・
の中に、僕はOターンや6ターンって言葉を書いたのですが、まったく同じような考え方がこの本にも載っていました。多くの人がそう感じているんだなって、なんとなく自分がほっとしました(笑)
また、この本には、司馬遼太郎の「坂の上の雲」の話がたくさんでてきます。
リーダーシップというものの中で、大将だけがリーダーシップではなく、参謀というものもある。という場面など、この本の根底にある寂しさ、ぎりぎり負けないという日露戦争の作戦であったはずのものが、真実を報道しなかったことで、日本を特別な、負けない神話。。今でいう安全神話を作り上げてしまったことなど・・
この本も、おすすめですね。
ちょっと、気になるので次はこれ読もうかな?
ルネ小平に、平田オリザさんが来るんですね!
■8月20日 19:00 ~ 21:00 会場:ルネこだいら
「この国の新しいかたち-下り坂をそろそろとくだる-」60分
平田オリザ(劇作家、演出家、東京芸大特任教授、大阪大学客員教授)
「対談:この星の新しいかたち」60分
平田オリザ × 関野吉晴
平田オリザ(劇作家、演出家、東京芸大特任教授、大阪大学客員教授、「芸術立国論」「新しい広場を作る_市民芸術概論綱要」など著書多数、ワークショップで多くの子供たちが、教室で演劇を創る体験を開いている。)
参加費(資料代):500円
*申込みは不要です。どなたでもご参加いただけます。
ただし、当日の先着順、定員(420名)を超えると、入場できないことがありますので、ご了承ください。
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