ロシア大統領選は2018年3月18日
あまり話題にならないですが、プーチンも立候補していて、もし当選すれば、2024年まで長期政権を確実にします。
https://ja.wikipedia.org/wiki/2018%E5%B9%B4%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E9%81%B8%E6%8C%99
そんなプーチンを2015年から3度にわたって、映画監督のオリバーストーンが20時間以上の取材をしたドキュメンタリーがあり、その取材記録が、この オリバーストーン オン プーチン という本です。
プーチンのプロパガンダかも知れないけど超絶面白い
アメリカ、正確に言うと、アメリカの官僚主義は、信用ならない。ということがいろいろな事例で語られています。
オリバーストーン自体が、反アメリカ的な思想なので、強調されてしまっているところもあるかと思いますが、事実なのかとも思います。
またプーチンの行動規範というものが、とてもシンプルだということがよくわかります。
国は、高齢者福祉(年金)、国民の生命、を守り、法の下での公平性が重要で、その基準で行動すること。国際政治は、合意と信頼・協調が一番重要だが、相手が起こす行動によっては、対応することも重要。
という原則で動いているということがよくわかりました。柔道の師範というだけあって、どちらかというと、日本や中国の徳治、作法という考え方で動いているのかな?なんて思わされます。そういう意味では、アメリカよりかなり東洋的な考え方だと思いました。
超要約?
NATO:ソ連を敵としてできた北大西洋条約機構で、軍事連合です。ソ連が崩壊したので、拡大する必要はもうないのに、イランが核疑惑があると言って拡大し、イランの核合意がなされた後も、拡大している。そしてABM条約(弾道弾ミサイル制限条約)からアメリカは脱退して、ロシアの周辺国に配備している。
ロシア:イデオロギーは、もう共産主義ではない。民主国家になっている。それは憲法で定まっている。国の中から、市場経済にしないといけないということで変わったことだから、西側諸国と同じように、市場は開放されているし、民主主義になっている。
シリア、ウクライナ、トルコ、チェチェンの紛争やテロとの戦い:いろんな紛争があるが、困難な状況を作っている勢力がいる。テロとして共通の認識で対処したい。決定的な証拠を西側諸国(特にアメリカ)に提示しても、アメリカからは継続的に支援しているとの回答があったり、無反応で、前進しない。 ソ連が崩壊して、崩壊からロシアを安定させた経験から、体制を完全に崩壊させると、安定までの時間がかかりすぎるし、国民の命の危険がたかまる。そのため、法律(憲法)を制定し、選挙によって体制変換をすることが望ましいし、そのやり方が一番である。
民主主義:国毎に民度が違うので、民主主義を押し付けても、根付かない。国の中から民主主義(主権が国民にある)の意義をもち、体制を変更させるようにするしか根付かない。
内政には不干渉:国のことは、それぞれの国が決める事。統治の方法は、それぞれの国が決めればいい。地域の安定が最優先である。
国を守るとは:崩壊したソ連を立て直す時に、高齢者の年金を払い続けること、国民の命を守ること。特定の物だけが利益を享受するのではなく、法の下で公平にすること。
アメリカ:ペレストロイカ(ゴルバチョフ)の時に、アメリカを信じ、諜報活動までオープンにし、核関係もすべてオープンにしたが、結局、クーデターを起こさせてしまった。またNATOも拡大はしないと言っていたが、実際は拡大している。大統領間で合意しても、官僚(組織)としては、対応されないことも多い。
などなど。。
こういう事柄は、僕達は西側のメディアからしか読まないし、SNSがあっても、偏った情報しか目にすることはないので、新鮮に映りました。
真偽のほどは、それぞれのインタビューに、話した内容の原典が出ているので、調べられるようになっています。
なんとなく・・・北朝鮮の言い分をまとめた時にも。。思ったことと同じようなことが書かれています。
【妄想】孫子の兵法を思い出して、北朝鮮の言い分を少し勉強してみた。ベネズエラ宣言を読んでみて世界の軸が変わってきてるのかもとも思う【World 3.0】
他にも、いろいろ面白い話が掲載されています。
経済制裁・保護主義?
経済制裁で面白いことが載っていました。
ハイテク関係や、農産品の経済制裁のおかげで、ロシア国内のハイテク産業が養成され、農産品の効率化が3倍も上がったそうです。
みずからは、グローバリズムの経済を志向しているロシアですが、外因で保護主義的になったので、国内の産業を強化するには、保護主義的というかグローバリズムへの制約がある方が強化できるのではないか?という逆説的ですが、中国の発展など見ていてもそうですね(^^;
実はトランプの政策は、ロシアと同じだった?
オリバーストーンは、トランプが大統領になるのをかなり恐れていたような感じが本から伺えますが、初期のトランプの主張と、プーチンの主張は、ほぼ同じような気がしてきました。
二国間での交渉を基本とするところや、世界全体をアメリカだけが、統治する方向でなく、共同でやっていこうと、もともと言っていたんですよね。
プーチン曰く、誰がなっても、アメリカの方向性はなかなか変えられないかも。。
と。。 今は世界の軍事費をアメリカ以外のものを足し合わせてもアメリカにかなわないそうです。世界の警察と化していますね。
こういう事柄の、崩壊は実は恐ろしいので、ゆっくりと変換できる方法が。。実は今、求められているのかな?なんて思いました。
お奨めです。
何にせよ、こういうオルタナティブの情報は、一見の価値はありますね。プロパガンダだとしても・・ プーチンの言うように、公開されている情報から純粋な気持ちで見れば、どういうことが起こっているのか?は諜報活動を行わずしてもわかる。。 らしいですから。。
DVDも出ているんですね。
あと、このインタビューで、キーになっているのが、スタンリーキューブリックの「博士の異常な愛情」という映画でした。
ついでにオリバーストーンの作品も
これらは一連の作品なのかもですね。
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