【電磁界シミュレーション】ふたつのアンテナ間の伝搬やハイトパターンの計算【NEC2】

テストサイトなどのハイトパターン

電子機器は、通信装置もそうなんですが、無線装置に影響与えたり、強い電磁波で影響を受けないように、EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁環境適合性)などのテストをしてます。

テストサイトに、物とアンテナを置いて測定します。

一般に、OATS(Open Air Test Site)とか電波暗室(半無響室)を使うのですがグランド面があります。

グランド面があると、自由空間と比較すると、グランド面からの反射によって電波の伝搬が違ってきます。

 

TXが送信アンテナ・RXが受信アンテナ RXの高さを変えると、高さ方向に直接波と反射波が干渉して干渉縞がでます。これをハイトパターンって呼んでます。

こういうのを、NEC2なんかで計算してみよう。。ってすると。。 チュートリアルとかがあまりないので、作ってみました(笑) ということです。

Example1 電界強度だけのグラフを作ってみる。

まずは、1/2λ(半波長)ダイポールが、グランドプレーン(大地面)から2mの高さで、水平偏波に置かれている場合に、3m離れたところで高さ1mから4mの電界強度を測ってみることをしてみましょう。

高さ2mのところにダイポールを置くとこんな感じです。

これで、X軸方向に3m離れたところを、高さ1mから4mまでのポイントを測定してみます。

Near Field Patternを計算する方法ですが。。 これで電界・磁界が計算できるのと、直交座標系ででてくるので便利といえば便利です。ちょっとみるだけなら。。

で。。計算結果は、こんな感じです。 Z軸が横に寝ているので、ハイトパターンぽくないですが。。

.NEC ファイル

プログラムといっても、下記のような感じです。

CM VHA 9103 300MHz 0.5m
CM 
CE
SY len=0.5 'Symbol: Length for WL/2 半波長入れてます
GW 1 9 0 -len/2 2 0 len/2 2 .0001 'Wire 1, 9 segments, halve wavelength long.
GE 1   'Perfect Ground
LD 5 1 0 0 58000000 'Wire conductivity ワイヤーの導電率入れてます
GN 1
EK     'Thin wire Expansion
EX 0 1 5 0 1 0 0 'Voltage source (1+j0) at wire 1 segment 5.
FR 0 0 0 0 300 0
NE 0 1 1 31 3 0 1 1 1 0.1 'Near field を x軸3m離れたところを1m~4mまで
EN

プログラムはたったこれだけ。 計算方法まで指定しているので実は、4NEC2だと、

オリジナルファイルを使え!って命令するだけでいいです。

で。。。これを、コマンドラインでも使えてfiles.txtの中身に入出力のファイル名を書いて

VHA9103-300MHz-0.50m.nec
VHA9103-300MHz-0.50m.out

コマンドラインでこんな感じで打てばいい。

>nec2dXS500.exe <files.txt

Pythonとかから使うと、このlenと周波数を変数にしておいてファイル名も別々にすると。。ずらーっと計算ができますね。 昔はShell scriptで書いたもんです(笑)

ちなみに。。 Far field でRadiation Patternを計算すると、こんな風にも見えます。

こんなのがもう20年くらい前からできているんですよね。。みんな使ってないけど(笑)

あれ?っと思った方。。それは正しい(笑)

アンテナを電磁界に入れたら、また電界は変わるんですよね(笑) なので、本当に測っているようにしようと思うと、受信電圧を計算した方がよいですね。

それもできます。 同じように送信アンテナ(TX)を2mにおいて、3m離れたところにまた受信アンテナ(RX)を置けばいいんです。そして真ん中に50Ω(特性インピーダンス)を置いてそこに流れる電流がNEC2の中で計算されているので、50Ω×電流値をすれば、電圧がでます。ちなみに、TXの起電圧も計算されているので、その間の伝搬ロス(電圧・電力)も計算できます。

カードはこんな感じです。今回はGMというカードで、X軸に3m動かして、Z軸を-1mにして下げています。また、LDっていうのが、タグ11のセグメント5のところに50Ωを入れるというようにしています。

CM Half Wave Dipole Comment
CE
SY freq=300   'It should work at the frequency f = 300MHz
SY dipolarm=300/freq/4 'Each dipole arm has the length "quarter wavelength" at
SY dr=0.002/2 'The radius of the antenna wire is 1mm
SY x = 0.907
GW 1 9 0 -dipolarm*x 2 0 dipolarm*x 2 dr 'Now we have to use the dipole as wire define. It works like this:
GM 10 1 0 0 0 3 0 -1 1
GE 1
LD 0 11 5 5 50
GN 1
EK
EX 0 1 5 0 1 0 0 'Excitation or supply drive.
FR 0 0 0 0 freq 0
EN

これだと。。RPも指定してませんが。。モーメント法は最初に電流値を求めるので、これで計算できちゃいます。

OUTファイルの中に以下のような結果が打ち出されています。9個のセグメントに分けているので、5のところに起電圧が、14のところに受信電圧(この場合電流ですが。。)が計算されています。

- - - CURRENTS AND LOCATION - - -

DISTANCES IN WAVELENGTHS


SEG. TAG COORD. OF SEG. CENTER SEG. - - - CURRENT (AMPS) - - -
NO. NO. X Y Z LENGTH REAL IMAG. MAG. PHASE
1 1 0.0000 -0.2017 2.0013 0.05042 2.3168E-03 1.3295E-03 2.6711E-03 29.849
2 1 0.0000 -0.1513 2.0013 0.05042 5.8599E-03 3.4965E-03 6.8238E-03 30.824
3 1 0.0000 -0.1008 2.0013 0.05042 8.4896E-03 5.3027E-03 1.0010E-02 31.989
4 1 0.0000 -0.0504 2.0013 0.05042 1.0149E-02 6.7203E-03 1.2172E-02 33.511
5 1 0.0000 0.0000 2.0013 0.05042 1.0717E-02 7.5357E-03 1.3101E-02 35.113
6 1 0.0000 0.0504 2.0013 0.05042 1.0149E-02 6.7203E-03 1.2172E-02 33.511
7 1 0.0000 0.1008 2.0013 0.05042 8.4896E-03 5.3027E-03 1.0010E-02 31.989
8 1 0.0000 0.1513 2.0013 0.05042 5.8599E-03 3.4965E-03 6.8238E-03 30.824
9 1 0.0000 0.2017 2.0013 0.05042 2.3168E-03 1.3295E-03 2.6711E-03 29.849
10 11 3.0020 -0.2017 1.0007 0.05042 3.8047E-05 -4.4603E-05 5.8626E-05 -49.536
11 11 3.0020 -0.1513 1.0007 0.05042 9.4259E-05 -1.1389E-04 1.4783E-04 -50.387
12 11 3.0020 -0.1008 1.0007 0.05042 1.3347E-04 -1.6688E-04 2.1369E-04 -51.349
13 11 3.0020 -0.0504 1.0007 0.05042 1.5506E-04 -2.0254E-04 2.5508E-04 -52.563
14 11 3.0020 0.0000 1.0007 0.05042 1.5884E-04 -2.1736E-04 2.6922E-04 -53.842
15 11 3.0020 0.0504 1.0007 0.05042 1.5506E-04 -2.0254E-04 2.5508E-04 -52.563
16 11 3.0020 0.1008 1.0007 0.05042 1.3347E-04 -1.6688E-04 2.1369E-04 -51.349
17 11 3.0020 0.1513 1.0007 0.05042 9.4259E-05 -1.1389E-04 1.4783E-04 -50.387
18 11 3.0020 0.2017 1.0007 0.05042 3.8047E-05 -4.4603E-05 5.8626E-05 -49.536

4NEC2だと、3Dviewの画面から、Identというボタンを押して、14セグメントを選ぶと

電流 I が、上のファイルの中身と同じものが出て、電圧 E・電力 Pが計算されます。

抵抗をRとするとオームの法則だけです。 E=R・I P=E・I=R・I・I ですね。

これで、例えば、GEをPerfect Groundから、適当な導電率のものを選んで計算したり、高さを変えてみれば、TX、RX間の損失が計算できるってことになります。

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投稿者 tom2rd

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“【電磁界シミュレーション】ふたつのアンテナ間の伝搬やハイトパターンの計算【NEC2】” に1件のフィードバックがあります
  1. 最近NECを使い始めたものです。
    詳細の説明、とても助かっています。
    ひとつ引っかかっていることが、あるので相談です。
    EXカードで、電圧源の数値を変えても、計算結果が変わらないことです。
    1Vを、10Vにしても、0Vにしても変わりません。
    何か、設定があるのか、元々そうゆうものか、教えていただけると嬉しいです。

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