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地政学が流行っています。
3月号の地理は、地政学特集です。
日本は第二次世界大戦の敗戦国で、ナチスドイツや日本帝国に利用されたとされる地政学についてはアカデミックでの議論は避けられてきました。最近、電磁波攻撃(HEMP)などでいろんな方と話しをするたびに思うのですが、平和を維持するためには、ある程度は戦争のことを学び、守ることくらいの研究はしないといけないのではないでしょうかね?
地政学も進化しているようで、ナチスドイツや米軍の侵略に使われた地政学だけでなく、人と人、民族と民族、歴史と地理の連動、地球環境と地理の連動での地政学から学べることは多いと、この特集号を読んで、思いました。
特集から
地政学と政治地理学との関係を識る 高木彰彦
地政学の変遷、さまざまな定義が載っています。日本で今、地政学が流行ってるけど、悪の地政学というイメージで語られることが多いが、世界で流行っている地政学は、歴史と地理、環境と地理などもっと世界を俯瞰したイメージであることが論じられています。
大衆迎合の出版界の地政学では、危ないのではないか?正しく俯瞰することを学術的にも行うべきじゃないか?と提言されています。
国連海洋法条約に基づく新たな海の秩序と国際的動向
-海の境界線と海図の役割 八島邦夫
海の日って、国連海洋法条約を批准して、発効された日を祝ってできたんですね。そいでもって、これって1994年で、だいたいの海の境界線が決まったのは2008年。まだ韓国と日本の間、中国と日本の間は、話し合いで決定していないそうです。
竹島や尖閣諸島についてもめだしたのもそのころからですね。 知らなかったです。きっちり決めなくてほっておいたら、こういう問題は忘れられていたのかもしれませんね。国連が世界不安を増殖させているのかもしれないですね。ここらについては国連の調停も先送りされているそうです。
僕らが学校で習った頃は、公海と領海しかなかったですが、今は接続水域、排他的経済水域(EEZ)とかありますもんね。
ちなみに確定していないといいつつ、排他的経済水域を含めると、日本って面積では世界6位の広さの大国なんですね。これも知らなかった。
地名をめぐる国際関係 田邉 裕
戦争に勝った国が、地名を決める。命名権というのは国家主権なんですね。でも日本は敗戦国だったので、いまだに地名を決める国連委員会には出てないそうです。そもそも国内の地名も各地方自治体がかってに決めれるそうです。
地名って歴史があったり、侵略やイデオロギーでも変わるので、人間が勝手につけた名前ですが、それだけに思い入れというのがあったり、国家主権を主張するものなんですね。
こないだプーチンの本を読んだ時に、レニングラードが、サンクトペテルスブルグに変わったのはイデオロギーのためって書いてありましたが、この地名の変遷は歴史そのものですね。
「地政学」から沖縄県政をとらえる 山﨑孝史
沖縄返還前からの歴史があっての、今の基地問題なんだということがよくわかりました。また、沖縄の人々が日本への復帰を望んだということもわかりました。琉球王国という存在からの歴史ではなく、日本の沖縄というところからの基地問題だったんですね。
しかし、沖縄本島では、米軍基地が問題となり、中国に近い周辺の島では、漁船団が来たりすることから自衛隊基地を誘致しているそうで、地政学的に見てやはり、文化・民族(要は人間)どうしが近くてぶつかるところは、要になる位置なんだと再認識しました。
未完のプロセスとしての境界
-古典地政学から批判地政学へ 川久保文紀
意味わからなかったから、パス。
もっと地理的な批判地政学を求めて
-地中海・ランペドゥーザ島から考える 北川眞也
ナイジェリア、リビアからの移民の集積地とされているランペドゥーザ島のことが書かれています。シチリア島よりナイジェリアの方が近いというイタリアの島です。なぜ移民がいったんここへ連れてこられるのか?地理的に近かったからか? いや。。イタリア(EU)がそう決めたからだ。 と書かれています。合理的な理由はなく人が決めたからそうなっただけだと。EU全体でみれば、こういう集積地が必要であることはわかるのですが、そこの住民からするとなぜこの島が?ということになるとのこと。
地政学全体にそうなのかもしれないですね。実は地理的にはなんの問題もないが、人間がいるから、民族の違い、文化の違いを作るので、それらの摩擦が地政学となる。しかも、歴史によってとらえかたが違ってくるということのようです。
特集以外でも面白い
九州のしめ縄のいろいろ
しめ縄って、一種類しかないと思っていましたが。。これを読んで、Googleで検索してみると。。
こんなにいろいろな種類があるんですね。
アクティブラーニング
「テクテク」で地理好きを育てる 岡下弘志
システムアプローチで考える地理教育 2
英米独の地理教育におけるシステムアプローチ
山本隆太・梅村松秀・宮﨑沙織・泉 貴久
地理でアクティブ・ラーニング 14
避難経路図を作製しよう 山本謙太郎
は、アクティブラーニングに関しての話でした。学習要綱が変わるので、アクティブラーニングの試行錯誤は、これからなんでしょうかね?
藤原京と平城京の話も面白かったです。
書架
本の紹介では、この二冊が気になります。今度読んでみようっと。
特に これがすべてを変える は読みごたえありそうですね。
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