淡々とすすむ新焼却施設懇談会- ホットな議論を期待する

(お知らせが遅くなりましたが、小村大への陳情をめぐる経緯が、わおん80号(2017.3.29発行)の巻頭記事になりましたので転載します。陳情署名にご協力くださった皆様、ありがとうございました。)

■焼却施設建て替え計画はオープンな議論で
新しい焼却施設づくりを目指す小平・村山・大和衛生組合(以下、小村大と略)の動きについての続報です。
昨年11月、三市ごみ連絡会と当会、東大和ごみレスくらぶ、環境を考える市民の会・むさし村山が連名で提出した陳情が、小村大組合議会で全会一致で採択されました。ところが、小村大は陳情の趣旨を自分の都合に合わせ、勝手に解釈し、市民公募ゼロの懇談会を発足させました。私たちの抗議を受け、小村大は各市1名の市民公募を3月に実施し、5月からの懇談会に参加させる措置を講じました。しかし、施設検討委員会とすると、そこに決定権があるととられるので、応じられないと答えました。こうした対応からは、整備計画の遅れを取り戻すために、小村大の計画通りにできるだけ早く事を運ぼうという姿勢があからさまです。市民に開かれた論議をじっくり積み重ねて、市民のごみ減量への協力を引き出し、市民が納得できる施設整備基本計画を練り上げる市民協働の方向性は、残念ながら感じとれません。

■ごみ行政は市民参加が不可欠
私たちは、ごみ行政が市民の暮らしに直結するものであるにもかかわらず、ごみに関する情報公開が不充分である現状を変えたいと願い、市民参加の必要性を訴えてきました。2月17日の小村大組合議会に向けて、陳情第2号を提出し、市民公募を各市2名以上とすること、懇談会を施設検討委員会に改めること、を求めましたが、賛成少数で不採択となりました。

■淡々とすすむ懇談会
新焼却施設整備に係る懇談会は、これまでに3回開催されました。メンバーは10名ですが、毎回1~2名の欠席があり、少人数が仲間内で話している感じで、傍聴席は離れていてよく聞こえません。当日配布された資料について、事務局(小村大)が説明し、話し合いが行われます。
これまでの議題は、
第1回(昨年12月19日):これまでの経緯と今後のあり方、新焼却施設の整備スケジュール
第2回(今年1月30日) :施設規模算出の考え方、敷地内の配置
第3回(3月7日):整備基本方針、処理能力、計画ごみ質、熱利用計画、公害防止基準、煙突の高さ
でした。
会議は夜7時〜9時の2時間。資料は当日配られ、これだけの議題をこなすとなれば、事務局の説明の後、メンバーが互いに意見をたたかわすという場面は起こらず、淡々とすすんでいます。傍聴していて「これでいいのかな?」と疑問を感じました。せめて、資料は予め送付して、問題点について委員が準備する余裕を持たせるべきでしょう。それに、傍聴者に当日閲覧させた資料を帰りに返すように言っていますが、これもうなずけません。資料は積極的に市民に開示して、議論の素材にしてもらうのが望ましいのでは? こうした対応は、懇談会が閉鎖的という印象を与えています。

■新施設の規模は日量238t。今後変わりうる。
新しい施設の規模について第3回懇談会で小村大が提案したのは、施設稼働予定の2025年度焼却量が最大(以後は人口減少で焼却量は減る)であるとして、可燃ごみ・不燃ごみ合計で60,533t、日量216t。それに災害廃棄物処理量としてその10%、つまり22tを加えた238tでした。そして、これは現時点での設定で、今後、組織市の廃棄物処理基本計画が変われば変わっていくと付言しました。

■ごみ減量目標について当会の提案
2月17日、私たち小平・環境の会は三市ごみ連絡会と連名で、「ごみ減量目標についての提案」を小平市長であり小村大管理者である小林正則氏に提出しました。その基本は平常時ごみ焼却量日量200tを目標に減量に努め、それに災害廃棄物処理量をプラスする、でした。災害廃棄物処理量を平常時の何%にするかは、今後の検討に譲りますが、これまでのところ、各市や組合の計画では5%前後から10%前後が主流と言えます。ひるがえって多摩地域全体で考えた場合、現在17の焼却施設で4,474t/日の処理能力がありながら、実際の処理量は約半分の2,232t/日(2015年度)でしかありません。また、多摩地域には広域支援制度があり、利用できることを考えると、果たして平常時の10%の余力を持つ必要があるのか、疑問のあるところです。

■家庭ごみ有料化による減量
私たちがごみ減量目標を日量200tに設定し、それが可能と考える理由は大きく言って、家庭ごみ有料化実施による減量と手数料アップによる事業系搬入ごみの減量です。(他に三市共同資源物処理施設ができれば、現在燃やされている小平市の軟質プラスチックの容器・包装が資源化され、その分焼却ごみが減ります。)
有料化については現在、小平市廃棄物減量等推進審議会で議論されていますが、私たちは多摩地域で既に家庭ごみの有料化を実施した市(26市中22市が実施)の家庭系可燃ごみ(収集ごみ)の有料化によるごみ減量効果を追跡した結果、有料化1年後の平均減量率は18.3%、5年後22.3%となりました(別表参照)。有料化5年後の減量率の目標として20%を設定することは無理がないと思われます。

別表  多摩地域有料化市における家庭系可燃ごみ
小平市は有料化実施を2019年度と予定しています。その5年後、2024年度(この年度末、新施設が竣工予定)の小村大への搬入量は2015年度の38,986tから、その20%=7,797t減の31,189tを目標とします。東大和市は2014年10月に有料化に踏み切って、2015年に小村大への搬入量が12.3%減っているため、あと7.7%減とします。武蔵村山市は、小平市と同様に考えて20%減量とします。その結果は、小村大への搬入量は2015年度の70,260tから12,150t減って、58,110tと想定されます。

■事業系搬入ごみの減量
事業系搬入ごみについては、三市の手数料が他市に比べ格段に安いという問題があります。多摩地域の他市はほとんどが㎏あたり30円から40円台で、小金井市は55円です。ところが小平市は24円、東大和市・武蔵村山市は25円です。これでは処理原価割れです。小平市の場合、収集費を除いたごみ処理原価は、2015年度32円です。この過剰サービスを止めれば、つまり手数料を引き上げれば、事業者は自ら搬入先を探し、小村大への搬入は大幅に減るはずです。2015年度、三市の事業系搬入ごみ量は、8,913tでした。この1/3が減るとすると約3,000t、1/2とすると4,500tの減量が可能になります。

■平常時日量200tを目標に減量は可能
新しい施設の規模を平常時日量200tにするためには、小村大での焼却量を2015年度の実績69,144tから54,750tへ減らす必要があります。減量すべき焼却量は14,394tです。上の試算で減量可能量は15,150〜16,650tとなりますから、それが充分可能であると判断できます。
市民も生ごみの三切り(水切り・食べきり・使い切り)、プラスチック容器包装の分別や買った店へ返す取り組み、雑紙をきちんと資源に分別することを実践して、ごみ減量をすすめましょう。
2020年には建て替えのため、小村大の焼却施設の一部解体が始まり、三市から搬入されるごみの全量を焼却処理することができず、他の自治体へ焼却をお願いする事態となります。三市市民のごみ減量への真剣度が問われます。

■公害防止基準、煙突の高さ―突っ込んだ議論を
懇談会では施設規模のほかにも
(1) 公害防止基準では窒素酸化物の自主基準値が50ppm以下とされているが、浅川清流組合では20ppm、町田市が30ppmとしている。この違いはなぜか?
(2) ダイオキシン類について、浅川清流組合と町田市は0.01ng‐TEQ/㎥N以下なのに、小村大の新施設は「0.1以下」である。
(3) 煙突の高さについては、現在の4・5号炉の100メートルでなく、3号炉の59.5メートルが提案されている。排ガスの拡散状況を考えると問題はないのか?
など、いろいろ議論を深めてもらいたい課題があると思われるのに、充分な説明や討議もなく、淡々とすすんでしまう。いったん造られると少なくとも30年は使う施設です。後悔しないように、とことん話し合いをしてほしいと感じました。(高梨)

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