最後に埼玉県小川町の霜里農場に行ってってから、もう 10 年近くが経つだろうか?
小平市小川町の畑部会員の女性 4 名は、東武東上線の小川町駅で降り、小川町の情報発信を担う「NPO 生活工房つばさ・游」が経営する『ベリカフェ』で有機野菜を使った美味しいランチを頂き、タクシーで霜里農場へ向かった。
今回は、下里二区集落農業センターで、OHP を見ながら金子美登さん(霜里農場主、小川町町議会議員)のお話を聞く座学からスタート。これまでの金子さんたちの取り組みを 1 時間くらい説明して下さり、改めて小川町の究極の有機栽培(無農薬無化学肥料)の作物生産とその作物を使用した酒や醤油、うどん、豆腐などの町の名品作りに感銘を受ける。参加者は老若男女 50 名以上いただろうか?外国からの見学者の姿もあった。金子さんのお話の後には、金子さんの作った大豆を使って豆腐を生産している「豆腐工房わたなべ」社長の渡邊一美さんのお話が。お父様の代からの豆腐屋さんを継ぎ、苦労の末に 2000 年から金子さんの大豆を使用した豆腐作りに取り組み、今では 1 軒の店頭売りだけで年商 3 億 2 千万円以上の売上げを誇るカリスマ豆腐屋さんに成長されたとの事。
質疑応答の後、いよいよ農場見学へ。まずは、農場などの生ごみ・落ち葉・剪定枝・ 家畜糞などを切り返して作る堆肥場を見学。次に廃食油から作った SVO(ストレート・ベジタル・オイル)で動かすトラクターを、実際にエンジンをかけた状態で見せて頂く。金子さんはご自分で廃食油を精製して SVO を作られている。ここで初めて知ったのだが、未使用の食用油は、そのまま使用可能だそうです。同じく SVO で発電機も動かし電気も作る。母屋やあちこち屋根のある所には太陽光パネル(屋根のない所には立てかけて)、間伐材や家屋廃材などの薪を使用したうウッドボイラーで母屋の床暖房と、台所・お風呂のお湯を賄う。そして、小川町と言えばバイオ発酵。生ごみや家畜の糞尿でバイオガスを発生させ、ガスは煮炊きなどに使用し、副産物の液肥は農場の肥料に。
それに太陽温水器も。とにかく自然エネルギーを最大限に活用されている生活が羨ましかった。
前回訪問したときは、あちこちに何匹もの猫の姿があったが、今回はそれが犬たちに変わっていた。何匹もの犬が広い農場のあちこちに繋がれている。生まれて間もない子犬の姿も。大の犬好きの我が同行者1名は、金子さんのお話を聞くよりも、そちらに心を奪われていた。
農場をぐるっと回りながら、有機無農薬での野菜作りのコツ(虫が嫌う作物を虫が来やすい野菜の間に蒔いて、虫除けにするなど)や、これまでのご苦労など、色々お話をうかがう。ところどころに牛の糞が落ちていて、気を付けないと危ない。牛を放牧して草を食べさせ、糞は土にすきこみ、土作りをされているとの事。牛小屋、鶏小屋も健在。牛は頭数がかなり増えていた。年末には、この牛の1頭が食肉になる。以前、田んぼで活躍したカモも冬には食されるとおっしゃっていたから、自給自足の生活が、ここにはあるんですね。
座学の冒頭に金子さんが話された、「日本は切り花国家。根(農業・農村)を大切にせず、地上の切り花(工業都市)ばかりを重視した結果、日本の穀物自給率は、世界 178 の国・地域中 125 番目。OECD 加盟国 34 カ国中 29 番目(2011 年試算)。人間の健康や民族の存亡という観点が、経済的見地に優先されなければいけないのに、この国は、それを忘れている」という言葉が胸に刺さりました。(島) あ、猫たちは母屋の中で健在でした。
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