【読書感想文】一時間でわかる電力自由化入門 わかるけど・・・わからないかも

アマゾンブックスで1位になっているそうですね。スマートグリッド展に行ってきて、このあいだもらったので、1時間ほどで読んでみました。結構網羅的に書かれているので、わかりやすいかもしれませんが・・・ それで?っていうところがひっかかります。

結局、日本の電力自由化は、アジアなど海外に向けて、日本のインフラを輸出していくために、競争力をつけることと書かれています。そして、IoT(昔はスマートグリッドと呼ばれていました)によって、電力と情報通信が結びついて効率化が図られるということが書かれていますね。

確かに・・・自由な競争は、それぞれの組織の競争力をつけてくれると思います。

スポンサーリンク
広告

価格はどうなるのかな?

思想自体は、まったくもって正しいと思いますが、イギリスなんかの例をみると、イギリス国内は、雨後の竹の子状態の競争のあと、一瞬価格は下がって、今は6社独占状態になってきて、10年で電力価格は倍になっています。(参考:なぜ、英国の電力価格は10年で2倍に上昇したのか 日経BP)ドイツも、同様に、一瞬下がったあと、4社独占状態になり、価格上昇をしています。(参考:動き出した電力自由化 日立ソリューションズ

電力を相互に融通しにくい島国でも、EUの大陸側の、どちらの場合も、電力は、結局エネルギー調達と、その分配の効率でしか価格が決まらないので、地産池省ができなくては、本来的には、価格は低減されないはずなんですよね。

電気料金はなぜ上がるのか?は、ここにも読書感想文とともにレポートありますので・・参考に・・・

IoTとの融合で言えば、

昔読んだ「スマートグリッド革命――エネルギー・ウェブの時代」に詳しくのっています。

その時の感想は、

仕事で、スマートグリッドというお題をもらっていて
いろんな本を読み漁っています。

最近出た本で、日米欧アジアの政策から各種企業戦略が
網羅されていて、世の中の動きがよくまとめられている本でした。

これから勉強しようという人には、とってもお勧めの本です。

電気業界・通信業界・自動車業界・電池業界などなど網羅的に書かれており
たぶん、みんなそう思って取り組んでいるだろうなぁ~~って
ことが書かれていましたが、特に目新しいことはなく、
だいたい知っている内容ばかりだったので、すぐに読み終えて
しまいました。
消費者というかみんなにとって何がいいかどんな利益があるのかを
もっと知りたいし、その具体的な効用(利益)について
いつも考えさせられていて、その解答を見つけたいと思っています。
それこそが、経済性を主体とする資本主義や市場経済の本質だと思うのです。
しかし この本は、政策や国家戦略、企業戦略を
基本に書かれている本なので、そういう点では超楽観的に、
「市場経済によって良くなるでしょう。それは市場が・・
それはプラットフォームが・・・それがインフラが・・・
自然に答えを出すでしょう」的な資本主義経済至上主義の
ような気がしました。

あと、ひとつ気になったのは、作者が「シリコンバレーモデル」
を書いた人であるため、シリコンバレーが発信する
エネルギーのネットワーク化は、ITのネットワーク化よりも
大きな革命である。という論調は、ちょっと意地悪な見方をすると
それこそが・・イノベーションのジレンマのような気もするところもあり、
二匹目のドジョウは、そこに本当にあるのかな?って
余計に懐疑的になったりもしました。

私自身が今悩んでいることだし、自分で答えを出さないと
いけないので、本に書いてあるようなことで答えを見つけるというのは
ダメなんでしょうね。でも、まぁ自分が思い描いていたような
ことは、みんなも思い描いているってことが分かったと
いう意味では、ご利益があったのかもしれないです。

ちなみに、この本の最後に、坂の上の雲を引用している部分があり
国家ビジョンを目指してというくだりがありますが・・・

最近、つとに思うのは、幕末の危機感→攘夷→欧米に負けない国を作る。
だったのに、今の日本は、思いっきり、米国に負けた国ですよね(笑)
特に、標準化などで海外で、敗戦国には未だに通訳がつかない事実を
現実に見てしまうと、あのビジョンは正しいのかな?
単に、薩長の人々の世界を明治維新以来作り続けて今に至っているだけ
なんじゃないのかな?って思ってしまいます。
今になってなんか欧米列強に勝ったつもりでいるような
記述が多いですが・・・勝ったとか負けたとかっていうそういう
くだらない発想自体が国家ビジョンを捻じ曲げているような気がして
なりません。時間軸でみると勝ち続けるなんてことはむしろ悪で
勝ったり負けたりで半々っていうのがちょうどいい線なのかと思います。

もっとみんなが単純に幸せになることが国家ビジョンであるはずで
それは、財産が固定化されない。地位が固定化されない世界を
いつも作りだすことで、あまりいい言い方でないですが下克上の世界
いい言い方だとアメリカンドリーム。。というか
夢を夢で終わらせずに、だれでもが実現する可能性のある世界を
作ることなんじゃないかな?それで単に、弱肉強食の競争社会というのではなく
努力した人が報われるルールが存在した中での競争社会。
焼肉定食の肉は牛肉であるべき世界観・・豚のしょうが焼き定食の場合は
きちいんと豚のしょうが焼きと明記した上で、牛ではないということを
お客様に知らしめる努力をするという真摯さの中での競争社会が
絶対に必要であるのではないかと・・・<おぃ!
最小不幸の世界とはちゃうなぁ~
って最近の司馬遼太郎ブームで思います。
この本とは全く関係ないか?(笑)

なんて長い感想書いていますね。

どちらかというと、本当は、まだ、改革の途中を目指していて、その中途半端な段階にあるのかもしれませんね。

【読書感想文】里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く

でも、書いたように、中央集権的なコントロールというものがなくなって、もっと地域分散していく形が最終形態なのかもしれません。

もっと節電という効率化と、廃棄物なども使った再生可能エネルギーの普及によってエネルギー自給が小さな塊でできる時代になっていくと、大電力会社は、なくなっていく?

あるいは、エネルギー供給や、通信、水、などインフラが小さな単位で公共的なNPOやNGOなどの形で、それぞれ供給される形になるのかもしれませんね。

コメントを残していただけるとありがたいです

Loading Facebook Comments ...
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。