初心者による初心者のための「サーキットで速くなる法」
ごあいさつ
簡単に自己紹介しますと、ボクはRC歴9ケ月、平均週1回のラジラジ、1回につき6時間ぐらいはサルラジというラジライフを送っています。
多くのBBS等を見ていると、一人孤独にがんばっているラジコン初心者の方が多いことに気が付きました。どう練習したらいいのか分からない、全然速くならないけど何が悪いのか分からない、そんな人達が、ボクが多くの師匠からどう助言を受けて、どんな練習をして、走り方がどう変わってきたかを読んで、すこしでも今後のお役に立てて下されば幸いです。
ただ、できるだけ短時間でサーキットを速く走ることができるようになることを主眼に置いて記述しておりますので、RCのその他の楽しみ方などについては意図的に無視してあります。
ゆっくり楽しみながら上達したいという方もいらっしゃるでしょうし、模型としての楽しみをRCに求めている方もいらっしゃるでしょう。趣味なんですから当然それもアリです。
ただし、以降の文章は、そのような方々には向いていません。
競技志向でスピード狂、スポーツは見るよりやる方が好き&体育会系の方にぜひ読んでいただきたい。このような方には、無駄な時間とお金を省き、効率良く速くなる効果があるかもしれません。
当然のことですが、ボクは未だエキスパートではないので、これらのやり方が最善の方法だとは決められないし、自分が最短で速くなっているとも思いません。
この文章は、自分はこう考えて、こうしてきましたという事実だけを記述しました。
始めに
サーキットはどんな人でも走っていいのです。初めてラジコンを走らせる人だって、全日本に出ちゃうような人に混じって走っていいところなんですよ。まあ、初心者は空いているときに行ったほうが楽しめますが・・・
でも、行ったからには、やっぱり速く走れるようになりたい!
なんだかんだ言っても、サーキットでは速いほうがカッコイイ!
一緒にがんばりましょう。
その1 ぶつけないで走る(1ケ月目)
2000年6月1日、初めて買ったRCカーを作り終えるやいなや向かったのはTサーキットであった。
受付の店長に、初心者なのだが何に注意して走れば速くなれますか?と質問したところ、
「ぶつけないで走ること!」
と即座に言われた。
また、
「ぶつけないで走れるようになれば、その後いくらでも速く走れるようになる」
とも・・・
始めのうちは走っているよりもぶつかっているほうが多いぐらいであったが、とにかくゆっくりでも当てないように心掛けた。
回りの人に気兼ねもあって、コースが空いているときを見計らってゲリラ的に走らせて、とにかく1パック激突3回の記録を樹立したのは6月終わり頃だった。
どうしても速く走りたい気持ちがあって、他の人の手前もっと加速したいとか、もっと速いモーター使ってみたいとか、邪心がどんどん湧いてくるが、ひたすら正確なコントロールに徹して我慢すること。
と言いつつ、自分はスポチュンではどうしても我慢できなくなって、2週目にはHPI製20Tなんてへんてこりんなストックを使い始めた。
その2 丈夫な車を使う(2ケ月目)
最初に買った車はタミヤのTA03RS-TRFだったが、使っているうちに不満がいろいろと出てきた。
一番の問題は足回りにガタが多いことで、ぶつかると素材が柔らかいために折れはしないがパーツが歪んでさらにガタが増えるのであった。
ストレートで真っすぐ走らないし、コーナーを曲がっただけでトリムが狂うようになり、ぶつかるたびにサスアーム交換やシム調整をしなければならず、走る時間がどんどん減ってきてしまった。
これではあまりにも馬鹿馬鹿しいので、ある師匠に訊いたところ、
「大衆車とレーサーは違うのだ。」
一ヶ月ちょっとしか使っていない03を放棄し、HPIのPRO2JE3を購入。
これには本当に感動した。真っすぐ走るし、ステアリングを切っただけ曲がり、しかもぶつかってもなんともないのであった。
PRO2は数あるツーリングカーの中でも突出して頑丈である。そのおかげで、サルのように走り続けることができるようになった。
最初の頃は1秒でも沢山走ったほうが勝ちだ。バッテリーが傷むなんて気にしないこと。初心者時代のバッテリーはどのみちうまくなったら使わなくなる。このころモーターも23Tストックに変えた。
また、初めて540初心者クラスのレースに参戦し、ほぼ真ん中ぐらいの成績であったが、同時に出たタミヤクラスは撃沈。
その3 コースの真ん中を走る(3ケ月目)
そこそこ走れるようになってきた7月末、突如Tサーキットが無くなってしまった。
あちこちのサーキットに行ってみたが、8月中旬ころ、今のホームサーキットであるRサーキットに落ち着くことになった。
そこには偉大な師匠がいらっしゃり、こう申されるのであった。
「コースの真ん中を走るようにしてごらん。」
実はそのころは速い人のラインを見て、真似するようにし始めていたので、これには内心不満であった。
だが、よくよく考えてみると、決められたラインを走ることができないのに、最速ラインをトレースするなんてことは出来ないのであった。
この「真ん中を走る」というのは、実は「ぶつけないで走る」の進化型であって、ぶつけない場合はコース幅いっぱいに使っても壁に当たらなければ良いのだが、進化型では線上を外れないように走らねばならないのであった。難易度は100倍ぐらいアップし、自分には大変困難であった。
その4 握らない(4ケ月目)
線上をそこそこトレースできるようになり、速く走りたいがためにガンガン加速し、どりゃ〜っと気合いでステアリングを切り、自分ではこりゃかなり速いぜと思い始めたある日、自分の後ろを付いて走っていた師匠が、
「惰性で走っているのに、余裕で付いていけるよ〜」
とおっしゃるのであった。車を止めて師匠を見てみると、
「このぐらいの感じ〜」
と言いつつ実にゆっくり走っていらっしゃるのであった。
「握り過ぎだね。」
RCカーは、実はスロットルを握ると速く走れないのである。
昔、他の師匠にも言われたことがあったが、その時は何を言われたのかさっぱり分かっていなかった。ようやくボクもそのことを理解できる年ごろになったのであった。
9月終わりころで、最初の頃は20秒前後だったラップタイムが、このころ15秒台に入るようになっていた。
サーキットで見る初心者のほぼ全員がこの「握り過ぎ状態」にある。つまり、握らないほうが速く走ることができるということを理解したとき、初めてステップアップできるのである。
10月にRサーキットの23Tビギナークラスに参戦し、TQ&1位。
その5 握る(5ケ月目)
できるだけ握らず、コーナー立ち上がりでジワ〜っと握ってすぐ戻し、惰性で転がしていく走法が身についてきたころ、ついに壁に当たって、タイムが伸びなくなった。
Rサーキットで魔王の如き走りをする別の師匠の走りを観察してみると、自分よりもスロットルを入れる量が遥かに多いことに気が付いた。つまり、ゆっくりジワ〜っと長く入れるよりも、短時間にガバッと入れたほうが速いのだ。
これが出来るようになってくると、タイムは徐々に伸び、14秒台に入れられるようになった。10月中旬の頃であった。
ただ、これも過ぎたるは及ばざるがごとしであって、すぐに握り過ぎに変化してしまうので、「握らない」と「握る」を交互に突き詰めることで、徐々にタイムを伸ばしていっていったような気がする。
つまり、加速が必要な所でできるだけ握って、不要なところではできるだけ握らないということである。言葉で書くと簡単だが、これこそRCで速くなるための神髄なので、大変難しい。さらに車のセッティング能力も必要となってきているのであった。
結局、2000年度目標14秒5には達したが切ることは出来なかった。
11月、12月の23Tビギナークラスでは、それぞれ3位、1位であった。
その6 実力以上のモーターを使う(8ケ月目)
1月に入ってから、趣向を変えて、10T〜11Tのモディファイを使うことにした。これもある師匠の入れ知恵である。
当然のことだが、実力が伴っていないので、目も指も付いて行けず、惨憺たるありさまであったが、それでもしつこく続けていると、だんだん走れるようになってきた。
破壊パーツの山を築きつつ1ケ月走り続けてから、23Tに戻した。
あまりの遅さにびっくらし、インに張り付いてばっかりだったが、慣れてくるとやたらと余裕があることに気付く。
指が速くなっているのだ。スロットルもステアリングも、短時間により多くのことが出来るようになっていた。
以上で、ボク自身の経験談は終了です。
師匠に言われたことが身に付くには、実に多くの時間と反復練習が必要です。残念ながら人間の神経シナプスはそれほど早くは伸びてこないのです。自分の10月段階の計画では、11月中に14秒5を切り、12月末には13秒台に突入だったのですが・・・(Rサーキットでは13秒台はエキスパート)
その技量が身に付くための最短距離を考えながらやってきたつもりですが、なかなか進めるものではありません。
また、まだその段階に達していないので、それをやろうとしても出来ないということもあります。あるいは、レベルが高すぎて師匠の言っていることが理解できないという場合も。そういうときは、とりあえず頭の中の引き出しにしまっておくと、しばらく経ってから、あ〜、そういうことであったか!と分かる日がきます。
この後は、技術以外のノウハウをば。
その7 多くの師匠を得る
一人でコツコツやるのも楽しみの一つではあろうが、早く速くなりたければ、師匠は必須。
だが、その師匠自身が速く走れる人でなければいけない。その上、自分の理想とするような走りをする人であれば更に吉。友達同士で始めた場合も、同様である。
初心者のうちは、だれでも凄く速く見えるが、速さのレベルには大きな幅があることを忘れてはいけない。ヘタな人に習っても、速くはなれない。
その8 タイムを測る
プロポに付いているストップウォッチでも、測るんジャーでも、他人に測ってもらうのでも、とにかく走るときにはタイムを測る。初心者にこそ、このことの効用は言い尽くせないぐらい大きい。
その9 チキチキ(競争)をする
他人と一緒に走ると、多くのことが分かる。自分の得意なところ、不得手な所をはっきり知ることができ、練習の目標を定めることができる。
たとえ、アッと言う間にみんなにぶち抜かれて、離されてしまう腕前だとしても、それなりに価値がある。よけることばかりに集中しないで、何かを得るようにがんばろう。
その10 訊く
セッティングにしろ、走り方にしろ、そこのサーキットのエキスパートに訊いてしまうのが一番早くて正確。訊くことで、顔見知りになることもでき、通い続けていれば、いずれは親しくなること出来る。ボクもTサーキットで右も左も分からないときに、多くの優しい人々に出会ったおかげで今がある。それがなければ止めてしまっていたであろう。
あっちこっちの掲示板に質問を書き込むより、まず隣のピットに居る人に訊いてみよう。
最初は、このサーキットで一番良いタイヤとインナーは何ですか?が定石。
とにかくタイヤが喰わなければ練習にはならない。
その11 間を空けない
学生ならともかく社会人、さらには家庭人にとって一番困難なことは、練習時間の確保であろう。でも、最初のうちはともかくがんばってサーキットに週1回以上は通うことをお勧めする。新しいことを憶える時は、最初の上昇カーブが重要だ!
終わりに
いろいろ書きましたが、一番大切なことは、
「楽しく遊ぶ」
に尽きるんじゃないでしょうか。
練習と言ったって、初心者にとってはサーキットで走ること自体が本番なわけで、ワクワクドキドキ、そりゃあ楽しいもんです。
けれども、課題を決めて、これは練習なんだ!もっとタイムを上げねば!という所に嵌まり込んでしまうと、結構辛いことになってきます。
とにかく、新しい車を買って目先を変えるとか、走ること自体に何か遊びを見つけるとかしてそこから出ないと、ラジラジが苦行になってしまいます。
人間を相手に競争すること。これが一番刺激的で面白いとボクは思いますが。
それから、世間ではいろいろなセオリーが語られています。曰く、初めのうちは540モーターにローギアを使えとか、広いところで8の字の練習から始めなさいとか。
はたまた、下手なうちは初心者向けの車を使えとか、オプション付けるなとか・・・
ボクは全部はしょってしまいました。
最初に行ったTサーキットには、コース脇に広場があり、パイロン練習ができるようになっていました。
初めのうちは遅くて迷惑がかかるので、コースが空くまではそこで走らせていましたが、広場で1日走らせるよりも、コースを10分走ったほうが身に付くものは多いと思いました。
広いところでいくら走っても、走路が規制されているサーキットではあまり役に立たちません。サーキットで走ってみてから、不得手なところを広場で練習するのは意味があると思いますが。
モーターも、最初から9Tはあまりお勧めしませんが、走って楽しいモノを使えばいいと思います。
スピードにはすぐに慣れます。遅いモーターから順番に速くしていくより、スポチュンクラスで感じをつかんだら、次はレースで使われるモーター(23T)のスピードに慣れてしまうほうが結局は時間が節約できるように思います。
それに、あまりに遅いモーターでは、すぐに嫌になってしまいますよ。
当然部品の消費率は上がりますけど、そのプレッシャーも上達する力になります。
速いモーターは、スロットルをラフに扱うとまともに走れません。当然ぶつかりまくりますので、なんとかせねばと考えます。これが重要なのです。漫然とコースをなぞって走っていても上達しませんよ。
RCの操縦は、スロットルとステアリングのコンビネーションが重要なので、遅いモーターを使ってステアリングだけ練習してもあまり意味は無いと思います。
最初から両方ペアで練習しましょう。ステアリングを切る・戻すタイミングとスロットルを抜く・入れるタイミングのコンビネーションをたくさん走る中で覚えていくのです。
うまく一致したときは、それは驚くほどの曲がり方をします。
それに、初心者がまず身に付けなければいけないのは、正確な操作です。それなのに、ダルな操縦性の車では、操作の結果が正確に反映されないので、いつまでたっても上達できないように思います。
初心者にこそ良い車が必要です。少なくとも4WDツーリング車であれば、神経質過ぎて運転できないなんてことはありません。
最初に良い車を買いましょう。良い車は高価ですが、それだけのことはあります。
道具を使ういかなるスポーツも、いい加減な道具では上達は望めないというのが一般的なセオリーでしょう。
私見ですが、初級向けとされている車のほとんどは、本当の意味での初心者向きではありません。
価格が安いというだけです。
それらの車の良さが分かるのも、速く走らせることができるのも、実は腕前がかなり上達してから後のことです。
RCを始めてから5年も10年も経っている人にとっては、安価な車は走らせやすく癖があって面白いものですが、逆にサーキットで初心者が走らせるのは非常に困難です。
それらは広場で適当に走らせるのに適しているのであって、サーキットでラインに載せて走らせるには、かなりの技量が必要なのです。
また、安い大衆車をレーサーにするには、たくさんのお金がかかります。つまりほとんどの部品をオプションと交換しなければ正確に走る車にならないのです。それだけやっても、同じ腕の人間がドライブすれば、素組みのハイエンドカーに勝てません。
これはお金も無駄ですし、時間の無駄でもあります。ですから、最初からレーサーを買えばいいのです。
オプションもしかりで、速く走るためのオプションは、付いているに越したことはありません。
後から付け足して操縦性が変わっていくよりも、最初からこんなもんだと慣れてしまった方が良いでしょう。
例えば、デフがワンウェイかそうでないかなんて初心者には全く感知できないので、最初から付けておき、それで慣れてしまえばいいのです。どうせサーキットではワンウェイしか使わないのですから。
まあ、これらに関しては様々な意見があります。
けれども、ほんの数カ月前までこれを熱心に読んでいるあなたと同じ状況にあったボクが言うのですから信じましょう。
そうそう、セッティング!
ラインにそれなりに乗せて走らせられるようになるまでは、セッティングがどうしたこうしたといじくり回すのは時間の無駄です。
ラインに乗せることができて初めて、アンダーかオーバーか、はたまた切り返しが速いか遅いか分かるわけで、それまでの間は、ちゃんと走る車を使って1秒でも多く走った方が得策です。
この、あなたの車がちゃんと走る車かどうかがまた難しい問題です。はたしてちゃんと組めているのかといつも不安ではありませんか?
自分の車はまともな走り方をしているのだろうか?
そういうときは、そのサーキットのエキスパートにこう頼んでみましょう。
「この車で走ってみてくれませんか?」と・・・。
楽しいラジコンライフになりますように。
それから、速くなれますように!(○^ε^○)
-----------編集後記------- Edit by とみなが
この記事は、速くなる=楽しむってことをとてもうまく表現した文章だと思います。和田さんありがとう!
mtabeさんのSmartLoggerを使って早くなる方法もありますよ。もう少し数値的に考えてみたい方は、こちらが参考になります。
2017年2月22日水曜日
ラジコンの運転が上手くなりたいなぁ〜と思った時に
ラジコン電子工作
こちらの記事は古いですけど
そういう数値的にいろいろやってみたいな。。と昔思った時にやっていたことです。
ラジコンセッティングのコラム
こちらも古くて書きかけですけど
セッティングの項目をまとめています。
たのしんで見てくださいね!!