【読書感想文】【発酵】傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 細菌との共生

最近、発酵に興味があって、いろいろ発酵させています。うまくいくとき、行かない時があるんですが、最初の頃はよくアルコールで消毒をしたり、煮沸したりといろいろしていたのですが、どうも・・・菌はあちこちにあって、消毒しなくても、うまく発酵する確率の方が高いような気がしていました。温度条件がすごく重要だなぁ~なんて思っていたのと、この前、耳のイボを取る手術をした時に、毎日消毒に行くのかと思ったら、まったく消毒に病院に行かなかったり、縫わないし、新しいタイプの絆創膏があったり・・・と・・ちょっと前と、ずいぶん傷の処方が違うな!って思っていました。そんな思いをしていて、ふと、こんな本が目にとまりましたので、読んでみました。

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この本、何気に読んだんですが、

  1. パラダイム の 意味がよくわかる
  2. 医学の治療法の変遷の歴史がよくわかる
  3. 細菌から動植物ができてきた成り立ちがよくわかる
  4. 神経物質の伝搬に関しておもしろい考察がある
  5. もちろん・・ 傷の正しい直し方がわかる

と・・・すごい本です。

傷の治し方

それ自体は、「新しい創傷治癒」というページに詳しくのっているのですが

皮膚の毛穴には、たくさんの常在菌(人間の皮膚を守っている菌)がいて、多少消毒しても人間の毛穴の中にいて全滅させることは難しい。悪い菌(黄色ブドウ球菌など)も、血液やリンパ液の中にあり、犬にかまれた場合や土がめり込んだ場合のように外部からの菌がそこにとどまるような場合を除いて、外傷や火傷の場合は、水で洗って、サランラップ等、傷口を密着し乾かさないようにして治療する方が治りが早い。という方法のようです。

確かに、最近の絆創膏は、この理論にのっとったものが出てきていますね。


白ワセリン以外のアルコールや軟膏は、肌や皮膚を傷つけるだけで治りを遅くするということです。アトピーなども、白ワセリンだけを塗りこむだけで、肌を乾燥させないようにすると治ることも多いとあり、在住菌(アクネ菌など)が適切にバリアを作る状態にするのがよいとあります。

災害などの時に、消毒が必要なく、この方法で手当てができるというのは、本当にすばらしいと思うし、実際、この前の手術の時に、まったく消毒もなくしてくれたので、自分も体験したことですので、この方法が今の常識(パラダイム)として適当なんだと思います。上の傷の手当セット常備しておくといいのでしょうね。

パラダイムシフト

ところで、この本には、パラダイムについて、多くのページが割かれています。天動説・地動説の話から、パスツールの菌の話、いろんな事例がのっていて、科学に携わるものとして、心に留め置かないといけない事項を詳しく書いてくれています。

先人が行ったことを否定するということではなく、きっと、疑問をもつこと、再試を自分でやってみること、そして、現実や事実をしっかり観察して、先人の言っていることを自分の頭で考えることの大切さを書いてくれています。

パラダイムという言葉の定義は、よく自分でもわかっていないのですが、ここでのパラダイムというのは、多くの人が、そうだな!って思う常識のようなもので、なんの疑いももたずにやっていることを指しています。科学が進んで、なんでもが科学で証明できているように思う人が多いのですが、今現在で、わからないことはいっぱいあります。そのわからないことというのは、まだまだこれからいろんな人が解明していかなければならないことなんでしょうけど、なんとなく、そのままにされているものが多いと思います。

この本のパラダイムである、細菌と生物の共生は、実はイギリスのビアトリクス・ポターという女性がもう100年以上前に、論文に出していたのですが、これが切り替わるまでに、古い専門家が死ぬまでかかったということが書かれていました。専門家は専門を守らなければいけないということ、恐ろしい事実ですが、身近にいつも起こっていることだと思います。ちなみにこのピアトリクス・ポターは、ピーターラビットの生みの親として知られるイギリス絵本作家となっていますね。これもまた皮肉な事実かもしれませんね。

ふと昔読んだ

を思い出しました。この本も、飛行機の翼型についてなど面白い仮説がたくさんのっています。ラジコンやっていると、翼型が関係しそうで、あんまり関係ないこと背面飛行などしてみたらよくわかりますが、この本も、パラダイムで信じ込まされていることをもう一度考えさせてくれる本です。

STAPもあるのでは?経済成長も絶対ではないのでは?

この本には、単細胞のものから、多細胞になり、動物ができてきた様子についても述べられています。STAPの話はでてきませんが、弱酸性で一番活発に動く細菌によって、人間の肌や膣、口腔が守られていることや、進化の過程で、単細胞の細菌は、DNAの情報を少なくして複製を早くすることで、環境の変化に対して種を保存するのに対して、多細胞のものは、余計なDNAを多くもち、そのDNA自体を外部とのやり取りをすることで、環境の変化に対して種を保存するということをしてきたということが、述べられていました。弱酸性というのとDNAを交換しながら生きているということは、STAP細胞も、実在するのかもしれないなぁ~って思ってしまいました。今のパラダイムではおかしいかもしれないとされることも、もっと沢山の人がきちんと調べれば、真実に近づくのかもしれないな。と思いました。

現在のパラダイムでいえば、経済成長が絶対とする考え方や、国家が保証するという考え方や、お金がお金を生むという考え方なども、パラダイムシフトがそろそろ起こりそうなそんな気がしています。独自であること、新しいことを言うこと、正しいことを言うことはとても勇気がいるのですが、真実であれば、いつかパラダイムシフトが起こる。ということを僕たちは覚えておかないといけないし、いつも心のどこかに置いておかないといけないな。と思いました。

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